よくわかる免疫細胞治療

免疫細胞治療に必要な基礎知識を、分かりやすく解説していきます。

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免疫細胞治療の種類

免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫細胞を使うことから、患者さん一人ひとりのがんの性質や病状に合わせて、どの免疫細胞をどのように利用すればより高い治療効果を引き出せるかを検討し、治療プランを立てることが可能な治療法です。 当社ではこの特徴を踏まえ、徹底した個別化(オーダーメイドの治療)を目指し、新たな治療技術の開発にも積極的に取り組んでいます。

(1) 樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法)

樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法)

樹状細胞(Dendritic Cell:DC)とは、体内でがん細胞を直接攻撃するTリンパ球(CTL)に、「抗原提示」することでがんの目印(がん抗原)を教え、攻撃の指示を与える免疫細胞です。樹状細胞ワクチン療法は、がん攻撃の「司令塔」ともいえる樹状細胞の働きを強化することで、CTLを活性化させ、がんを集中的に狙いうちすることを目的とした治療法です。

当社が提供する樹状細胞ワクチン療法には、手術などで取り出したがん組織を調製したもの(ライセート)を樹状細胞に取り込ませ、それを再び患者さんの体内に戻す「自己がん細胞感作樹状細胞ワクチン療法」と自己がん組織ではなく、人工的に合成したがん抗原(抗原ペプチド)を樹状細胞に反応させ、体内に戻す「ペプチド感作樹状細胞ワクチン療法」があります。

当社では以下の細胞加工技術を開発・導入しています。

1.セル・ローディングシステム(Cell Loading System)

米国のMaxCyte社との共同開発による、細胞に電気刺激(エレクトロポレーション)を与え小さな穴をあけ、そこからタンパク質を取り込ませる技術です。樹状細胞にダメージを与えることなく効率よく抗原を取り込ませることが可能で、従来の方法に比べ数十倍に向上することが実験から明らかになっています。

従来の方法 セル・ローディング・システムでは 共培養法に比べて取込み量が数十倍増加

2. ゾレドロン酸共感作法

樹状細胞にがん抗原を取り込ませる際に、骨腫瘍・骨転移の治療に使われるゾレドロン酸を使用して刺激することで、個人差はありますが、使用しない場合と比べ、がん 細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)を60~100倍多く誘導することが確認されています。

(2) NK細胞療法

NK細胞療法(非特異的治療)

リンパ球に10%程含まれるNK細胞を活性化、増殖させ、体内に戻す治療法です。
NK細胞は、がんも含めた異常な細胞全般に対し攻撃する免疫細胞で、がん細胞が目印(がん抗原)を隠している場合も認識し、殺傷する能力を持っています。また、NK細胞は抗体と結合しているがん細胞を攻撃する特徴も有しており、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ等の抗体医薬を使用している場合に併用することで、がん細胞を効率よく攻撃することが報告されています。

(3) ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)

ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)(非特異的治療)

Tリンパ球中に数%しか含まれていないγδT細胞を活性化、増殖させ、体内に戻す治療です。
γδT細胞は、異常な細胞全般を攻撃する免疫細胞です。特に骨腫瘍・骨転移の治療に使われるゾレドロン酸で前処理することで活性化、増殖させて体内に戻します。

(4) アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)

アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)(非特異的治療)

がんに対する攻撃力が最も強い細胞の一つであるTリンパ球を活性化、増殖させ、体内に戻す治療で、αβT細胞が約90%を占めます。
αβT細胞はがんも含めた異常な細胞全般に対して攻撃する免疫細胞です。近年、抗がん剤治療の後に、免疫系を回復させる目的や、手術後の再発予防を目的とした利用もされています。

(5) CTL療法

CTL療法(特異的治療)

患者さん自身のがん細胞の特徴を、Tリンパ球に覚えこませることで、そのがんのみを攻撃する免疫細胞(細胞傷害性T細胞=CTL)を増やし、体内に戻す治療法です。 この治療は腹水、胸水などから、患者さんのがん細胞が入手できる場合に行えます。

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