よくわかる免疫細胞治療

免疫細胞治療に必要な基礎知識を、分かりやすく解説していきます。

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他の治療との併用

各治療法の特徴を活かし、総力戦でがんに立ち向かう

免疫細胞治療は、ある程度大きくなったがんを急激に小さくする様な即効性は期待できませんが、全身に散らばった微小ながん細胞の攻撃は得意とされています。

一方、抗がん剤等の化学療法は、副作用の懸念はあるものの、がんを短期間で縮小させる力は免疫細胞治療よりも期待できます。がんに立ち向かうためには、それぞれの治療法の特徴を踏まえて、うまく組み合わせることが大切といえます。

一般に、がんが大きくなればなるほど、免疫ががんに抵抗できる力は弱くなります。
抗がん剤によりがんを小さくさせてから免疫細胞治療を行うことは有効であると考えられます。また、がん患者さんの体内においてはしばしば免疫の働きそのものが抑制された状態にありますが、抗がん剤の中にはこの免疫抑制状態を解除するものもあり、このような抗がん剤と併用する考えもあります。抗体医薬においても、がん抗原(がん細胞の目印)に抗体を結合させ、がん細胞の増殖を抑えます。この抗体を免疫細胞が認識、抗体と結合したがん細胞等を傷害する作用があるため、抗体医薬と免疫細胞治療の併用が検討されています。

これらの治療以外でも、放射線治療やラジオ波焼灼術でダメージを与えたがん細胞の近傍に樹状細胞を投与するなど様々な治療との併用に意味があると考えられています。

放射線治療と組み合わせたり、化学療法と組み合わせたりすることができます

再発予防に期待される免疫細胞治療

免疫細胞治療の肺がん術後再発防止における効果

※Kimura H, Yamaguchi Y., A phase III randomized study of interleukin-2 lymphokine-activated killer cell immunotherapy combined with chemotherapy or radiotherapy after curative or noncurative resection of primary lung carcinoma. Cancer 80(1):42-9, 1997 Takayama T, Sekine T, Makuuchi M, Yamasaki S, Kosuge T, Yamamoto J, Shimada K, Sakamoto M, Hirohashi S, Ohashi Y, Kakizoe T., Adoptive immunotherapy to lower postsurgical recurrence rates of hepatocellular carcinoma: a randomised trial., Lancet. 356(9232):802-7, 2000.

手術では検査画像も含め目に見えるがんを取り除くことは可能ですが、目に見えないがん細胞まですべて取り除くことは難しいといわざるを得ません。そうした微小ながん細胞が増殖し目に見えるようになると再発となります。標準治療では、再発予防としてしばしば抗がん剤による術後化学療法が行われます。

一方、免疫細胞治療は重い副作用を伴わず、全身に散らばった可能性のある微小ながん細胞を攻撃するのが得意であることから、手術後の再発予防治療として非常に有効と考えられます。

元 千葉県がんセンター(現 千葉県済生会習志野病院 呼吸器外科)木村秀樹医師 発表論文※より

肺がん手術後の免疫細胞治療の効果について検証した無作為比較試験の臨床結果の報告です。免疫細胞治療を併用した82人は、5年後も半数以上(55.4%)が生存しているのに対し、併用しなかった88人では1/3程度(33.4%)しか生存せず、生存率に大きな差が認められます。

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